神戸の地下に、もうひとつの時間が流れている場所がある。
地上を走る車の音も、海から届く汽笛も、そこまでは降りてこない。煉瓦の壁にかこまれた長い坑道のなかで、聞こえるのは、ときおり天井から落ちる水滴の音ぐらいだ。気温は一年を通じて約15度。夏も、冬も、ほとんど動かない。
その場所の名は、湊川隧道という。明治34年(1901年)に築かれた、神戸の街の下を貫く煉瓦造りの川のトンネルだ。
ここに、5年間ずっと一本の酒が眠っていた。2020年に仕込まれた生酛純米酒だ。
その酒『隧 ZUI SAKE 2020 子 Aged 5 years old』が、初回販売の完売を受けて、2026年5月18日(月)から二次販売される。数量限定。

川を地下に通した、明治の大工事
そもそも、なぜ神戸の地下に煉瓦のトンネルが眠っているのか。話は明治のはじめ、1868年の神戸港開港にまで遡ります。
開港したばかりの神戸が抱えていた弱点は、地形でした。六甲の山がすぐ海に迫る神戸では、雨のたびに湊川が土砂を運び下ろし、せっかくの港湾を浅くしてしまう。港の機能を維持するためには、川そのものをどこかへ避けてしまう必要がありました。
そこで採られたのが、湊川の流路を会下山の下に貫通させ、地下へ通してしまう、という大胆な選択です。藤田組などの民間の手によって明治34年(1901年)に竣工した湊川隧道は、日本で最初の本格的な河川トンネルとされ、現在は国の登録有形文化財に指定されています。
役目を終えた今も、総煉瓦造りの坑道は地下に残り続けています。年間を通じて気温が約15度――いわば、神戸の街の下に眠るもうひとつの「蔵」です。
「港の会社」が、隧道で日本酒を醸す理由
このプロジェクト「湊川隧道貯蔵酒『隧-ZUI-』」を主導するのは、1885年創業、神戸港とともに140年を歩んできた早駒運輸株式会社。海運業を本業とする会社がなぜ酒に関わるのか。同社は「湊川隧道が神戸港を守り、神戸の発展の礎を築いた場所だから」だと説明しています。港の記憶を未来へ繋ぐ手段として、隧道に酒を眠らせる選択をした、というわけです。
醸造を担うのは、灘五郷の蔵元株式会社神戸酒心館。六甲の伏流水を活かした生酛純米酒が、湊川隧道保存友の会、兵庫県を加えた4者の連携によって、隧道の中で時間をかけて変化していきます。
隧道の内部は、一般的な日本酒の貯蔵庫より少しだけ温度が高い。そのぶん、酒はゆっくりと熟成を進め、角の取れた丸い味になっていくという。電気で冷やす蔵ではなく、120年前に掘られた煉瓦の坑道がそのまま蔵になっている――港と街を守るために掘られた場所が、今度は神戸の歴史を一本の酒に紡ぎ直している。
2020年・子年に仕込まれた一本
今回二次販売されるのは、2020年に貯蔵を開始したロット。十二支でいえば子(ね)年にあたります。5年の歳月を経て隧道から引き出された酒の名は『隧 ZUI SAKE 2020 子 Aged 5 years old』。
ボトルのラベルには、世界的に知られる作陶家辻村史朗氏が揮毫した「子」の書が用いられています。長い作家人生のなかでも初の試みとなる「十二支」の揮毫から、貯蔵を始めた年の干支「子」を選んだもの。辻村氏自身も湊川隧道を訪れ、その静寂と歴史の重みに触れたうえで筆をとったといいます。


その隧道での体験から生まれたのが、この酒のためだけに作陶された酒器「黒盃(くろさかずき)」。本商品には、ボトル単品のほか、この黒盃を組み合わせたセットも用意されています。

販売概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売開始 | 2026年5月18日(月) |
| 販売場所 | 「隧-ZUI-」公式・販売ページ |
| 商品1 | 「隧 ZUI SAKE 2020 子 Aged 5 years old」(単品)/5年熟成 生酛純米酒 500ml ボトル/13,750円(税込) |
| 商品2 | 「隧 ZUI SAKE 2020 子 Aged 5 years old」辻村史朗 黒盃付き/ボトル+酒器「黒盃」/64,350円(税込) |
いずれも数量限定。第1次販売は好評のうちに受付を終了しており、今回の二次販売にも注目が集まりそうです。
関連リンク
- ブランドサイト: zuisakefromkobe-ko.jp
- 公式・販売ページ: zui-online.square.site
- Instagram: @zui_kobe
- 早駒運輸株式会社: hayakoma.com
出典: 早駒運輸株式会社( PR TIMES )/ ブランドサイト「兵庫湊川隧道貯蔵酒 隧」
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