蜷川実花 with EiM『共鳴するアクアリウム』体験記 — átoaで出会った、光と水と命の交差点

蜷川実花 with EiM『共鳴するアクアリウム』体験記 — átoaで出会った、光と水と命の交差点

神戸・átoaで開催中の蜷川実花 with EiMによるインスタレーション体験記。日本最大級の球体水槽と光が響き合う空間、そしてátoa全館の魅力をレポート

蜷川実花 with EiM『共鳴するアクアリウム』体験記 — átoaで出会った、光と水と命の交差点

神戸のウォーターフロントに現れた、新しいアート体験

球体水槽の写真を見た瞬間、「これは行かなければ」と思った。

神戸・新港町のウォーターフロントに佇む都市型水族館「átoa(アトア)」。ここで2025年8月29日から11月3日まで開催されている蜷川実花 with EiM『共鳴するアクアリウム』。正直に言えば、átoa名物の日本最大級の球体水槽に、蜷川実花の光の演出が加わるという期間限定のコラボレーションが目当てだった。

でも、実際に足を運んでみると——átoaという空間全体が、予想を遥かに超える体験を用意してくれていた。

洞窟から始まる、幻想的な旅

átoaのエントランスを抜けると、最初に迎えてくれるのは2F「CAVE(はじまりの洞窟)」。

多面形の鏡が乱反射する洞窟のような空間。魚群の演出照明がきらびやかに流れていく。まるで異世界への入り口をくぐったような、不思議な感覚に包まれる。

átoaは「劇場型アクアリウム」を謳っているだけあって、ただ水槽を眺めるのではない。舞台美術と生き物と光が一体となった「体験」がそこにある。

フロアごとに変わる、没入感のある世界

átoaは4フロア構成。それぞれが異なるテーマを持ち、まるで映画のシーンを渡り歩くように展開していく。

2F - 海中世界への探索

  • MARINE NOTE(生命のゆらぎ): 海中世界に迷い込んだような錯覚。波に揺蕩う海の生き物たちの優雅な姿
  • ELEMENTS(精霊の森): 霧が立ち込める樹海の森。天井から降り注ぐ木漏れ日の中、淡水魚や両生類と出会う

3F - 和と宇宙の交差点

  • FOYER(探求の室): カピバラが泳ぐオーバーハング水槽。心落ち着く柔らかな光
  • MIYABI(和と灯の間): 風光明媚な和の世界。時間で移り変わる光の演出が日本の四季を表現
  • PLANETS(奇跡の惑星): ここが今回の目的地。蜷川実花 with EiMの舞台
  • GALLERY(探求の回廊): 額縁のアートな仕掛けが五感を刺激

4F - 天空への到達

  • SKYSHORE(空辺の庭): 開放的な屋外空間。神戸の潮風と癒しの生き物たち

この構成が素晴らしいのは、3F「PLANETS」に辿り着くまでの間に、自然と没入感が高まっていくこと。洞窟から森、和の空間を抜けて、宇宙のような「PLANETS」に到達する頃には、もう日常の感覚は遠のいている。

3F「PLANETS」— 蜷川実花 with EiMが創る、響き合う空間

そして、いよいよ3階「PLANETS」へ。

暗闇に浮かび上がる、日本最大級の球体水槽”AQUA TERRA”。その周囲を、蜷川実花 with EiMが創り出した光とミストとレーザーが包み込む。

「水に浮かぶいのち、光に揺れる記憶、響きあう存在たち」

コンセプトに掲げられた言葉通り、この空間は静止していない。光は移ろい、水は揺らぎ、その中を泳ぐ生命たちが、鑑賞者の存在に反応するように動き続ける。

まるで大阪万博のパビリオンのような没入感

この空間に足を踏み入れた瞬間、頭に浮かんだのは「大阪万博のパビリオン」だった。

2025年の大阪・関西万博でも話題になった、テクノロジーとアートが融合した没入型空間。あの感覚が、ここ神戸のátoaで体験できる。

360度全方位を光とミストが包み込み、球体水槽の中の生命と、自分自身の存在が響き合う。この感覚は、単なる「鑑賞」ではない。自分自身が作品の一部になる「co-being(共に在る)」体験だ。

実際、宮田裕章氏は大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーでもある。万博で提示された「Better Co-Being」という未来の在り方が、この空間では体感として刻まれていく。

蜷川実花×EiMという化学反応

蜷川実花といえば、鮮烈な色彩と圧倒的な生命力。でもこの『共鳴するアクアリウム』では、その美しさの「奥」にあるものが見えてくる。

EiMというクリエイティブチーム

  • 蜷川実花: 写真家・映画監督。写真集120冊以上、個展150回以上の実績
  • 宮田裕章: データサイエンティスト・慶應義塾大学医学部教授。大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー
  • 桑名功: クリエイティブディレクター
  • 上野甲子朗: 照明監督

各分野のスペシャリストが結集し、多様な光が無数のクリスタルと球体水槽を透過・反射。空間全体が「いのちの呼吸」で満たされていく。

2025年1月〜3月に京都市京セラ美術館で開催された「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」は25万人を動員。その熱狂が、今度は神戸の海辺で新たな形を纏っている。

実際の反響

  • 開催期間: 2025年8月29日(金) 〜 11月3日(月・祝)
  • 来場者数: 10万人突破(2025年10月24日時点)
  • 5万人突破: 開催からわずか1ヶ月(9月26日)
  • 宮田裕章氏も来場(9月28日)

正直に言うと、球体水槽以外も楽しかった

最初は「球体水槽目当て」で訪れたátoa。でも実際に館内を巡ってみると、予想以上に楽しめた

フォトスポットが至る所に

átoaは「インスタ映え」という言葉を超えた、本格的なフォトスポットの宝庫。

  • CAVE(はじまりの洞窟): 鏡の乱反射が創り出す無限の広がり
  • MIYABI(和と灯の間): 四季折々の光の演出と日本由来の生き物たち
  • PLANETS(奇跡の惑星): 球体水槽と光のベール。360度どこから撮っても絵になる
  • GALLERY(探求の回廊): 額縁のアートな仕掛けが写真に深みを与える
  • SKYSHORE(空辺の庭): 神戸の空と海を背景にした開放的な空間

特に「MIYABI」の和の空間は、時間によって光の演出が変わるため、同じ場所でも何度も撮りたくなる。

生き物たちとの出会いも豊か

átoaは「劇場型」でありながら、生き物たちの多様性もしっかり押さえている。

  • FOYER: ユニークなオーバーハング水槽でたおやかに泳ぐカピバラ
  • MARINE NOTE: 海中世界の個性的な魚たち
  • ELEMENTS: 淡水魚、両生類との新たな出会い
  • SKYSHORE: 癒しの生き物たちが天空世界でお出迎え

球体水槽だけでなく、各フロアで異なる生態系に出会える構成が、飽きさせない。

átoa カフェ & ショップも要チェック

4F「átoa cafe」で一息

4階にあるátoaカフェは、神戸の景色を眺めながらゆっくりできる空間。館内を巡った後、ここでドリンク片手に余韻に浸るのもいい。

訪れる前に知っておきたい、átoaの基本情報

チケット・料金

『共鳴するアクアリウム』開催期間(2025/8/29~11/3)の特別料金

区分一般お手帳をお持ちの方
大人(19歳以上)2,800円1,560円
中高生(13~18歳)2,400円1,560円
子ども(小学生)1,600円900円
幼児(3歳以上)大人1名につき1名無料
追加1名600円
300円
幼児(3歳未満)無料無料

※『蜷川実花 with EiM 共鳴するアクアリウム』の鑑賞も、入館料に含まれる

通常料金(参考)

区分一般お手帳をお持ちの方
大人(中学生以上)2,600円1,560円
子ども(小学生)1,500円900円
幼児(3歳以上)大人1名につき1名無料
追加1名500円
300円
幼児(3歳未満)無料無料

🎨 神戸でアート三昧するなら、セット券が断然お得

実は私も利用したのが、アソビュー!というサイトの神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond × átoa セット券

通常の当日券で両方買った場合

  • 六甲ミーツ・アート当日券: 4,000円
  • átoa入館料: 2,800円
  • 合計: 6,800円

昼夜パス + átoaセット券

  • 6,100円(700円お得!)
セット内容料金(大人)お得度
神戸六甲ミーツ・アート2025 昼パス + átoa5,100円700円お得
神戸六甲ミーツ・アート2025 夜パス + átoa4,200円400円お得
神戸六甲ミーツ・アート2025 昼夜パス + átoa6,100円700円お得

※通常、六甲ミーツ・アート当日券4,000円 + átoa 2,800円 = 6,800円のところ、昼夜パスセットなら6,100円で両方楽しめる

セット券の購入はこちら

営業時間

基本営業時間: 10:00〜19:00(最終入場18:30)

※時期により変動する可能性があるため、 公式サイト で確認を推奨

アクセス

所在地: 神戸市中央区新港町7-2

電車でのアクセス

  • 神戸市営地下鉄「三宮・花時計前駅」徒歩約10分
  • JR「三ノ宮駅」徒歩約15分
  • ポートライナー「貿易センター駅」徒歩約6分

車でのアクセス

  • 阪神高速3号神戸線「京橋IC」から約5分
  • 専用駐車場なし(近隣のコインパーキング利用)

所要時間の目安

  • átoa全館の鑑賞: 約1.5〜2時間
  • 『共鳴するアクアリウム』エリア: じっくり鑑賞するなら20〜30分
  • カフェ・ショップ込み: 2.5〜3時間

時間に余裕を持って訪れることをおすすめする。特に「PLANETS」は、光の演出が変わるのを待ちながら、じっくり浸りたい空間だ。

撮影について

館内はご自由に撮影していただけます。但し、他のお客様のご迷惑にならない範囲(大きな機材で場所を占有しない等)でお楽しみください。生物保護のため、禁止場所でのフラッシュ撮影はご遠慮ください。ライブ配信等もご遠慮いただきますようお願いいたします。 なお、商用利用並びに営利目的の撮影についてはお問い合わせください。

公式Q&Aより

光の中で、自分自身と向き合う

átoaを訪れて感じたのは、「見る」から「体験する」への転換

特に3F「PLANETS」の蜷川実花 with EiM『共鳴するアクアリウム』は、鑑賞者が作品の一部になる体験だった。

水槽の中の魚たちは、光を受けてきらめきながら泳いでいる。その光は、蜷川実花がデザインし、EiMが空間に配置したもの。でも同時に、その光は私の目を通して、私の中で新たな意味を持つ。

鑑賞者が変われば、作品も変わる。

それは物理的な変化ではなく、「響き」という目に見えない変化だ。隣にいる人と同じ光を見ていても、受け取るものは違う。でも、その違いが空間全体の「響き」を豊かにしていく。

宮田裕章氏が語る「共鳴する社会」——それは、一人ひとりが異なる音色を持ちながら、その違いが美しいハーモニーを生み出す社会のことだ。球体水槽の前で、私はその未来を、ほんの少しだけ垣間見た気がした。

11月3日まで。神戸の海辺で、響き合う体験を

『蜷川実花 with EiM 共鳴するアクアリウム』は、2025年11月3日(月・祝)まで。

正直に言えば、球体水槽目当てで訪れたátoa。でも帰る頃には、átoa全体のファンになっていた

洞窟から始まり、海中世界、森、和の空間、宇宙、そして天空へ——4フロアを巡る旅は、日常から離れた没入体験そのもの。フォトスポットも至る所にあり、何度も足を止めてシャッターを切りたくなる。

神戸のウォーターフロント、秋の光が美しい季節に、この「響き合う空間」を訪れてみてはどうだろう。

átoaの他のエリアも含めて、じっくり時間をかけて巡るのがおすすめだ。神戸の海と、水槽の中の海と、蜷川実花が創り出した光の海——3つの「海」が交差する場所で、あなた自身が「響き合う者」になる体験を。


基本情報まとめ

蜷川実花 with EiM 共鳴するアクアリウム

  • 会場: átoa 3F PLANETS
  • 会期: 2025年8月29日(金)〜11月3日(月・祝)
  • 鑑賞料: átoa入館料に含まれる

átoa(アトア)

  • 住所: 〒650-0041 神戸市中央区新港町7-2
  • 営業時間: 10:00〜19:00(最終入場18:30)
  • 入館料(特別料金): 大人2,800円 / 小学生1,600円 / 幼児600円
  • アクセス: 神戸市営地下鉄「三宮・花時計前駅」徒歩10分
  • 公式サイト: átoa
  • 所要時間: 1.5〜2時間(カフェ・ショップ込みで2.5〜3時間)
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Naoki Nakayama

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